第38回介護福祉士国家試験の合格率は70.1%と、過去5年で最低水準を記録しました。
合格率の低下が続く一方、今回から「パート合格」制度がスタートし、科目を分けて合格を積み上げられるようになっています。
本記事では、過去10年の合格率推移、他資格との難易度比較、受験資格、合格後の登録手続き、施設別年収や資格手当まで、介護福祉士を目指す方・合格後のキャリアを考える方に、必要な情報をデータとともに解説します。
- 介護福祉士国家試験の合格率10年推移と第38回で低下した構造的な原因
- 新制度「パート合格」の仕組みと不合格でも次につなげる具体的な活用法
- 合格後の登録申請の流れ、施設別平均年収、資格手当のリアルな支給実態
1.【過去10年比較】介護福祉士国家試験の合格率は?

第38回介護福祉士国家試験の合格率は70.1%。過去10年のデータを振り返ると、第35回の84.3%をピークに3年連続で低下しています。
数字の背景にある構造的な原因を客観的に読み解いていきましょう。
合格率の推移
介護福祉士国家試験の合格率は、近年大きく変動しています。
低下傾向が続いており、直近の動向を正確に把握することが、受験対策や今後の試験傾向を読み解く上で重要です。
介護福祉士国家試験 合格率の推移
第29回〜第38回(10回分)の合格率データ
最高合格率
84.3%
第35回
最低合格率
69.9%
第32回
平均合格率
74.5%
10回平均
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※おおむね70%台で推移し、第35回(令和4年度)で過去最高の84.3%を記録。
※合格率は年度により変動するため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
過去3年間の推移を見ると、第36回(82.8%)、第37回(78.3%)、そして今回の第38回(70.1%)と、合格率は右肩下がりにあります。
特に今回の70.1%という数字は、過去5年で最低の水準です。
参考:厚生労働省|介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移
合格率の低下の原因
合格率低下として考えられる原因は、受験者の学習環境と受験機会の制約です。
受験者の8割以上が働きながら受験しており、日々の介護業務と並行して学習時間を確保することが困難な状況にあります。
特に外国人介護人材は、日本語の壁に加え、就労と学習の両立という二重の負担を抱えています。
さらに特定技能介護の在留者は5年間で2回しか受験機会がなく、十分な準備期間や再挑戦の余地が限られていることが、合格率を押し下げる構造的要因となっていると考えられます。
参考:厚生労働省|介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移/介護福祉士国家試験の検証に資するデータ分析 報告書
2.新制度「パート合格」を徹底解説!

もし今回の結果が「不合格」だったとしても、決して悲観する必要はありません。新たに運用が始まった制度があります。それが「パート合格」制度です。
パート合格とは
試験科目を3パートに分割し、合格点に達していれば、翌年翌々年までの試験でその科目の受験が免除される仕組み
これまでは、たとえ1点足りないだけでも全ての科目をやり直す必要がありましたが、この制度により一歩ずつ合格に近づくことが可能になりました。
特に働きながら受験する方にとって、全範囲を一度に完璧にする負担は計り知れません。
パート合格を積み上げることで、学習効率を向上させることができます。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|パート合格(合格パートの受験免除)がスタートします!/厚生労働省|第38回介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について

不合格だった場合、まずは自分の得点状況を確認しましょう。
どのパートが合格基準に達し、どこが苦手だったのかを分析することが大切です。
3.介護福祉士と他資格との比較で見る難易度

「介護福祉士は簡単」というイメージは過去のものです。
社会福祉士やケアマネ試験の合格率と比較しながら、受験資格の「3年・540日」の壁も含めて、介護福祉士が持つ本当の難易度と価値を検証します。
社会福祉士やケアマネジャーとの合格率・難易度比較
合格率の推移(第1回〜第37回)
合格率の推移(第19回〜第28回)
介護福祉士の近年の合格率は70〜84%台で推移し、直近の第38回も70.1%と高水準です。
一方、社会福祉士は長年25〜30%前後で安定し、直近2回こそ50%台後半に上昇したものの全37回累計では30.2%と難関。
ケアマネ試験も10年平均20.3%、直近の第28回は25.6%にとどまります。
3試験の中では介護福祉士が最も合格率が高く、ケアマネジャー、社会福祉士の順に合格率が低い傾向にあります
参考:厚生労働省|第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について/社会福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移
実務経験ルートの「3年・540日」という高い壁
介護福祉士が専門職として評価される最大の理由は、知識だけでなく「圧倒的な現場経験」が裏付けられている点にあります。
受験者の8割以上が実務経験ルートを占めており、3年以上の実務経験や特定の研修修了が求められます。
この「現場で培われた判断力」こそが、今の難化した試験を突破するための鍵となります。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]受験資格:実務経験+実務者研修/厚生労働省|介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの受験免除)の導入について
4.合格後の手続きと資格を活かしたキャリアアップ術

合格発表だけでは介護福祉士を名乗れません。
登録申請から登録証交付まで約1ヶ月半かかる手続きの流れ、施設別の平均年収データ、資格手当の実態まで、合格後のキャリアに直結する情報をまとめました。
登録免許証の申請フローと必要書類
合格発表後、速やかに「登録申請」を行う必要があります。この手続きを完了し、手元に「介護福祉士登録証」が届いて初めて、法的に介護福祉士として認められます。
介護福祉士 登録申請の流れ
新規登録に必要なステップと書類をまとめました
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登録資格と欠格事由の確認
国家試験合格者または養成施設卒業者であり、法令上の欠格事由に該当しないことを確認します。
必要書類を簡易書留で提出
登録申請書・収入印紙・払込証明書などを揃え、試験センターへ郵送します。
試験センターで受理・審査
書類審査の後、登録簿に登録されます。
登録証の交付約1か月半
レターパックプラスで発送されます。不在時は不在配達通知書で保管期間内に受け取ってください。
登録免許税分の収入印紙を郵便局等で購入し、申請書に貼付します。
登録手数料を払い込み、証明書(お客さま用)の原本を貼付用紙に貼り付けます。
※登録申請書へのマイナンバー記入は任意です。マイナンバーカード両面コピー、または通知カード両面コピー(氏名変更時は住民票)のいずれか1通を同じく貼付してください。
日本国籍の方:戸籍の個人事項証明書/戸籍抄本/本籍記載の住民票(いずれも原本)
外国籍等の方:国籍等を記載した住民票の原本(中長期在留者・特別永住者)/パスポート等のコピー(短期滞在者)
介護福祉士の追加書類が必要なケース
喀痰吸引等行為を申請する場合/養成施設卒業の場合/令和6年度(第37回)以降、受験資格区分5・6・7で合格した場合は、上記1~3に加えて追加書類の提出が必要です。
申請から登録証の発行までには通常1ヶ月半程度かかるため、4月からの昇給に間に合わせるためには即座のアクションが必要です。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[資格登録]新規登録の申請手続き
資格取得で給与はどう変わる?施設別平均年収データ
介護福祉士の施設別平均年収は、高齢者福祉関係286万円、障害者・障害児福祉関係326万円、医療関係311万円、その他316万円です。
最も高いのは原子爆弾被爆者施設・事業所の421万円で、救護施設387万円、ハンセン病療養所381万円が続いています。
一方、訪問介護221万円や家政婦紹介所199万円など低水準の職場もあり、施設種別による年収差が大きい点が特徴的です。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|令和2年度就労状況調査結果
資格手当の平均額と支給割合
事業所の割合
月額平均
支給額
月額は1万円前後が主流で、前回調査より支給額・支給率ともに改善傾向。
介護福祉士の資格手当がある事業所は62.9%、月額平均は9,055円で、前回の調査から処遇改善が進んでいます。
最も多い支給額は10,000円で、月額分布では「1万円以上2万円未満」が34.3%と最多。
次いで「5千円以上1万円未満」が31.7%、「5千円未満」が19.4%と続き、約5割が1万円前後を受給している実態がわかります。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|令和2年度就労状況調査結果
5.介護福祉士の合格率低下に負けないキャリア戦略
介護福祉士の合格率は第38回で70.1%と過去5年で最低水準となり、試験の難化傾向が明確になっています。
一方で新設された「パート合格」制度により、科目ごとに積み上げて合格を目指せる環境が整いました。
資格取得後は施設種別で年収差が大きいものの、資格手当がある事業所は6割超に拡大し、月額平均も9,055円と処遇改善が進行中。
現状を正しく理解し、制度を活用しながら着実にキャリアを築いていきましょう。






