「介護士」と「介護福祉士」は同じような仕事をしていても、給与やキャリアパスに大きな違いがあることをご存知でしょうか。
本記事では、2つの違いを仕事内容・給与・将来性の面から解説し、実務経験を活かして介護福祉士を目指すルートについても提示します。
- 介護士と介護福祉士の根本的な違いと、仕事内容・役割で共通する点と異なる点
- 資格取得で実現できる具体的な収入アップ額と、施設形態別の給与差の実態
- 未経験から介護福祉士を目指すための最短ルートと、上位資格へのキャリアパス
1.介護士と介護福祉士の根本的な違いは?

介護士と介護福祉士は似ているようで、実は明確な違いがあります。
まずは両者の根本的な違いを押さえ、それぞれの立ち位置と法的な意味合いについて正しく理解していきましょう。
「介護士」は介護に携わる人の総称
介護士とは、介護施設や訪問介護事業所などで介護業務に従事している方の総称で、特定の資格を指す言葉ではありません。
無資格・未経験からでも介護士として働くことは可能で、法的な定義はありません。
食事や入浴、排泄の介助など、利用者の日常生活を支える重要な役割を担っており、介護現場の中核を支える存在といえます。

広義の「介護士」という円の中に、介護福祉士も含まれます。
「介護福祉士」は唯一の国家資格を持つ専門職
介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格です。
国家試験に合格し登録を受けた方のみが名乗ることができ、利用者への直接的な介護に加えて、介護計画の作成やスタッフへの指導、家族への助言など幅広い業務を担います。
資格手当による給与アップや、ケアマネジャーなど上位資格へのステップアップも可能で、介護職としてのキャリアを大きく広げる重要な資格です。
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介護福祉士が「唯一の国家資格」であることはわかりましたが、実際の仕事内容・年収・なり方について、より詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
資格の全体像を図解で整理しているので、これから目指す方はまずこちらの記事を参考にしてみてください。
2.仕事内容・役割における具体的な違いと共通点

日々の介護業務は共通する部分が多い一方で、介護福祉士にはより専門的な役割が求められます。
現場で実際に担う業務内容と、期待される役割の違いを具体的に見ていきます。
現場での実務(身体介護・生活援助)は共通
介護士と介護福祉士は、現場で行う身体介護や生活援助の実務内容に大きな違いはありません。
食事・入浴・排泄の介助といった身体介護や、掃除・洗濯・買い物などの生活援助は、どちらも同じように担当します。
ただし、介護福祉士は国家資格を持つ専門職として、より専門的な視点でケアを提供し、現場のリーダー的な立ち位置を担うケースが多くなります。
介護福祉士に期待される「チームリーダー」としての役割
求められる「役割」には差があります。
介護福祉士は、高度な専門知識に基づき、他のスタッフに対して介護技術の指導を行ったり、チームのリーダーとして現場をまとめたりすることが期待されます。
また、利用者様やご家族との相談業務、ケアプランに基づいた適切なサービス提供の調整など、よりマネジメントに近い役割を担うシーンが増えるのが特徴です。
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3.給与・待遇の差を数字で見る|資格手当と処遇改善

「資格を取るだけで給与が変わるの?」という疑問にお答えます。
実際の平均給与データと特定処遇改善加算の仕組みから、経済的なインパクトを具体的に解説します。
平均給与の差
平均給与額(月給)
| 介護福祉士 | 350,050円 |
| 無資格 | 290,620円 |
施設形態別の平均給与額(月給)
| 施設形態 | 介護福祉士 | 無資格 |
|---|---|---|
| 介護老人福祉施設(特養) | 372,960円 | 303,410円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 363,550円 | 305,230円 |
| 訪問介護事業所 | 355,790円 | 無資格では従事不可 (有資格者のみ従事可能) |
| 介護医療院 | 340,420円 | 286,270円 |
| 通所介護事業所(デイサービス) | 304,850円 | 280,090円 |
介護福祉士と介護士(無資格)の月額給与を比較すると、全体平均で介護福祉士が350,050円、無資格者が290,620円と、約59,430円の差があります。
施設別でみると、特養では月額69,550円(年間約83万円)、老健では58,320円(年間約70万円)もの差が生じています。
資格取得による経済的メリットは非常に大きく、長期的に見れば介護福祉士の資格は確実な収入アップにつながる重要な投資といえるでしょう。
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施設別の給与差が明確になりましたが、介護福祉士の年収・月収について、手取り額や処遇改善加算の仕組みも含めてさらに詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
収入アップの具体的な方法まで網羅的に解説しています。
処遇改善加算による給与の底上げ
国は介護職員の確保のため「処遇改善加算」を設けています。

基本的に勤続10年以上の介護福祉士については、経験・技能がある介護職員として、処遇改善加算Ⅰが適応されます。
さらに、実務者研修や喀痰吸引研修などの受講支援も職場環境の改善の要件に含まれており、資格取得とキャリアアップを目指す職員を経済面から強力にサポートする制度です。
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処遇改善加算の恩恵を最大限に受けるには、職種・資格・施設形態別の給与データを把握しておくことが重要です。
介護職全体の給料水準を地域・資格別に比較した記事も合わせて読むことで、自分の適正年収の目安がより明確になります。
4.介護福祉士を目指すべきメリット

給与アップだけでなく、介護福祉士の資格は将来にわたって大きな価値を発揮します。
ここでは、資格取得で得られる具体的なメリットを紹介します。
転職・再就職で有利になる
介護福祉士の資格は、転職や再就職の場面で大きな強みとなります。
介護業界は慢性的な人材不足のため有資格者へのニーズが非常に高く、求人の選択肢が豊富で採用される可能性も高まります。
また、資格保有者はサービス提供責任者や生活相談員など幅広い職種への応募が可能で、待遇の良い職場を選びやすくなる点も魅力です。

生活相談員は、介護福祉士の資格を持っているだけでなることが可能な場合もあります。
自治体により実務経験など条件が異なるため、事前の確認が必要です。
「ケアマネジャー」など上位資格への道が開ける
介護福祉士の資格は、さらに上位のキャリアを目指すための重要な足がかりとなります。
ケアマネジャー(介護支援専門員)
実務経験:5年以上(介護福祉士として)
従事期間:5年以上(国家資格等に基づく業務または相談援助業務)
従事日数:900日以上 都道府県実施の試験に合格し、実務研修を修了
代表的なのがケアマネジャー(介護支援専門員)で、介護福祉士として5年以上かつ900日以上の実務経験を積むことで受験資格が得られます。
認定介護福祉士
実務経験:5年以上(介護福祉士取得後)
介護福祉士の資格を保有していること
介護職員を対象とした現任研修の100時間以上の研修歴
レポート課題または試験で一定水準の成績を修めること

認定介護福祉士は、介護職の小チームリーダーとしての実務経験、居宅/居住(施設系)サービス双方での生活支援経験も求められます。(受講要件のない項目もあり)
そのほか、認定介護福祉士へのステップアップも可能です。
介護の現場経験と国家資格を活かし、より専門性の高い分野や管理職ポジションへと活躍の場を広げていけるでしょう。
参考:公益社団法人東京都福祉保健財団|令和8年度東京都介護支援専門員実務研修受講試験/認定介護福祉士認証・認定機構|認定介護福祉士になるには
■資格手当・キャリアアップが見込める転職先を探してみませんか?
介護福祉士の資格は転職・再就職でも大きな強みになります。
資格を活かして待遇の良い職場に移りたい方は、ぜひ専門家に相談してみましょう。
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5.介護福祉士になるための受験資格ルート

介護福祉士の国家試験を受験するには、4つのルートのいずれかで受験資格を得る必要があります。
それぞれの特徴と必要な要件を押さえ、自分に最適なルートを見つけましょう。
介護福祉士になるための全ルート
介護福祉士の受験資格は4つのルートに分かれており、それぞれ求められる学歴や実務経験、研修の修了状況が異なります。

- 養成施設ルート:高校卒業後に介護福祉士養成施設で2年以上学ぶ方法
- 実務経験ルート:実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要
- 福祉系高校ルート:指定科目を修めて卒業する方法
- EPAルート:経済連携協定に基づき来日した候補者が対象
自分がどの区分に該当するかを正しく把握し、必要な要件を満たしたうえで受験に臨むことが大切です。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]受験資格
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受験資格のルートが4種類あることがわかりましたが、特に働きながら目指す方に多い「実務経験ルート」では、受験資格の計算方法や新制度の内容を正確に把握することが合格への近道です。
2026年版の最新情報とあわせて確認しておきましょう。
未経験から介護福祉士を目指すための最短ルート
最も一般的なのは、介護などの業務で3年以上の実務経験を積み、並行して「実務者研修」を修了することで、国家試験の受験資格を得るルートです。

受験資格は「従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上」の実務経験に加え、実務者研修の修了または介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修の修了のいずれかが必要です。
働きながらステップアップできる点が魅力で、現場経験と体系的な学びの両方を兼ね備えた、介護福祉士を目指す王道のルートといえるでしょう。

介護職員基礎研修は2012年に廃止され、介護福祉士実務者研修に一本化されました。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]受験資格:実務経験+実務者研修/[介護福祉士国家試験]受験資格
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実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験に欠かせないステップです。
受講費用や期間、助成金制度、スクール選びのポイントまで詳しく解説した記事を参考に、働きながらでも無理なく取得できるスケジュールを立ててみましょう。
6.介護福祉士と介護士の違いを理解してキャリアアップを
介護福祉士と介護士の最も大きな違いは、国家資格の有無です。
介護士は現場で働く人の総称で無資格から始められる一方、介護福祉士は専門知識と技術を国から認められた唯一の国家資格です。
資格取得により月額約6万円の給与アップや、ケアマネジャー・認定介護福祉士など上位資格への道も開けます。
実務経験3年と実務者研修の修了で国家試験に挑戦できるため、働きながら着実にキャリアアップを目指せる魅力的な資格です。
■介護福祉士として次のステージへ、転職サポートを活用しよう
資格取得でキャリアの可能性が大きく広がる介護福祉士。
資格を活かした転職や就職を検討しているなら、業界のプロに相談するのが近道です。
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