介護福祉士とヘルパーの両者には、資格の種類や業務範囲、給与、キャリアパスの広がり方に明確な違いがあります。
本記事では、介護福祉士とヘルパー(訪問介護員)の違いを、仕事内容・受験資格・給与・キャリアパスの視点でわかりやすく解説します。
さらに、未経験から国家資格取得を目指す方が活用できる助成金・支援制度もご紹介します。
- 介護福祉士とヘルパーの仕事内容・資格・受験ルートの違い
- 介護職員初任者研修から介護福祉士までのステップアップの流れ
- 資格取得や就職に活用できる助成金・支援金制度の内容
1.介護福祉士とヘルパーの違いとは?

介護福祉士とヘルパーは、どちらも介護現場で活躍する職種ですが、資格の位置づけや業務範囲には明確な違いがあります。
まずは法的な区別と、無資格から国家資格までのステップアップの仕組みを確認しましょう。
「介護福祉士」と「ヘルパー」の法的な区別
介護福祉士
介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、専門的知識と技術を持って介護を行うことができる「名称独占資格」です。
資格を持っていない人が「介護福祉士」を名乗ることは法律で禁じられています。

社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、専門的知識と技術をもって「心身の状況に応じた介護」を行い、さらに「介護に関する指導」を行うことが定義されています。
ヘルパー(訪問介護員)
介護職のヘルパー(訪問介護員)は、高齢者や障がいのある方の自宅を訪問し、日常生活を支援する専門職です。
食事・入浴・排泄などの身体介護、調理・掃除・買い物といった生活援助を行います。利用者の尊厳を守りながら自立した暮らしを支える、思いやりと専門知識が求められる仕事です。
旧ホームヘルパーは現在「介護職員初任者研修」へ
かつては「ホームヘルパー1級・2級」という名称が一般的でしたが、2013年の制度改正により体系が整理されました。
現在、初学者向けに位置づけられているのは「介護職員初任者研修」です。これは、介護の基礎を学ぶための研修であり、国家資格である介護福祉士への「第一歩」となる資格です。
介護の資格は、無資格からでも段階的にステップアップできる仕組みです。下位研修の修了科目は上位研修で一部免除され、効率的に学べます。
無資格者
資格がなくても、施設系サービスでの介護職員として働ける場合があります。訪問介護員としては従事できません。
入門的研修1日3時間 / 1週間21時間
介護の基本を短時間で学ぶ入口の研修。介護未経験者が最初に受講しやすい内容です。
生活援助従事者研修59時間
修了すると、訪問介護のうち「生活援助中心型」のサービスに従事できます。
介護職員初任者研修130時間
介護の基本知識・技術を体系的に学ぶ研修。修了で訪問介護員として全業務に従事可能になります。
実務者研修450時間
医療的ケアを含む実践的な内容。介護福祉士国家試験を受けるために必要な研修です。
介護福祉士国家資格
実務者研修の修了+実務経験3年で受験可能。介護分野で唯一の国家資格です。

旧ホームヘルパー2級に該当するのが介護職員初任者研修です。
介護職員初任者研修では、訪問介護や通所・居住・施設系の職場で働くことができます。
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介護職員初任者研修は、未経験から介護業界へ踏み出す方の最初のステップとなる資格です。
資格取得までの具体的な流れや受講にかかる費用、取得することで得られるメリットを知っておくと、自分に合った学び方を選びやすくなります。
次の記事では、初任者研修の全体像をわかりやすくまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
2.仕事内容と受験資格の比較

介護福祉士とヘルパー(訪問介護員)では、現場で求められる役割や資格取得のルートが異なります。
それぞれの具体的な仕事内容と、資格を取得するために必要な要件を比較しながら詳しく見ていきましょう。
仕事内容の違い
介護福祉士
介護福祉士の主な仕事は、食事・入浴・排泄などの「身体介護」と、調理・掃除・買い物などの「生活援助」、他スタッフへの技術指導や家族への相談・助言を中心に、利用者の自立した日常生活を支えることです。
単なる作業ではなく、利用者の残存能力を活かす自立支援の視点をもって関わる、介護分野で唯一の国家資格です。
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介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格であり、現場のリーダーとしても期待される存在です。
実際の仕事内容や年収の目安、資格取得までのルートを図解で詳しく知っておくと、キャリアプランを描きやすくなります。
次の記事では、介護福祉士の全体像を初めての方にもわかりやすくまとめていますので、あわせてご覧ください。
ヘルパー(訪問介護員)
ヘルパー(訪問介護員)は、要介護認定を受けた高齢者や障害支援区分の認定を受けた障害のある人の居宅を訪問し、在宅介護サービスの中心的な担い手として活動します。
食事・入浴・排泄・衣服の着脱などの身体介護に加え、調理・洗濯・掃除・買い物といった家事支援を行います。
また、本人や家族への精神的ケアや介護技術の指導も重要な役割です。多職種とチームを組んで働くため、他職種や各種制度の基本知識、連絡・調整能力も求められます。
参考:厚生労働省|職業情報提供サイト(job tag)|訪問介護員/ホームヘルパー
各資格・研修の受験資格
介護福祉士
介護福祉士 国家試験 受験資格ルート
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社会福祉士養成施設等
保育士養成施設等
+喀痰吸引等研修
実務経験 9ヶ月以上が必要
※入学年度・研修の修了状況により受験資格の要件が異なります。
介護福祉士の国家試験を受験するには4つのルートがあり、いずれも筆記試験合格後に資格取得となります。
- 実務経験ルート:3年以上(従事日数540日以上)の実務経験に加えて実務者研修などの修了が必要
- 養成施設ルート:高校卒業後に養成施設で2年以上学ぶ方法
- 福祉系高校ルート:入学年度により要件が異なり、特例高校の場合は9ヶ月以上の実務経験が必要
- EPAルート:外国人候補者が3年以上の実務経験を経て受験する方法
未経験から挑戦する場合、まずは実務経験を積みながらステップアップする「実務経験ルート」が現実的です。
受験申し込み
8月上旬〜9月上旬
試験日
1月下旬
合格発表
3月中旬
試験会場
全国35試験地
■ 人間と社会
■ こころとからだのしくみ
■ 医療的ケア
■ 介護
■ 総合問題
試験科目は全13科目で、「人間と社会」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」「介護」「総合問題」の5領域から幅広く出題され、介護職に必要な知識と技術が総合的に問われる内容となっています。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]受験資格/[介護福祉士国家試験]試験概要
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介護福祉士の受験資格は4つのルートがあり、自分の経歴や状況によって最適な選択肢が異なります。
特に未経験から目指す場合は、実務経験の積み方や研修の受講順序を理解しておくことが合格への近道です。
次の記事では、4つのルートの詳細と合格までの具体的な手順を最新情報に基づいて解説していますので、ぜひご確認ください。
ヘルパー(訪問介護員)
ヘルパー(訪問介護員)として働くには、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の取得が必要です。

介護職員初任者研修は、年齢・学歴・経験を問わず、誰でも受講できる介護の入門資格です。
「介護職員初任者研修」(130時間)の修了で、これにより身体介護を含む訪問介護業務全般に従事できます。
介護職員初任者研修は、かつての「ホームヘルパー2級」が制度改正によって改称されたもので、介護の入門的な資格として位置づけられています。
すでにホームヘルパー2級を取得している方は、改めて初任者研修を取り直す必要はなく、初任者研修修了者と同等に扱われます。
参考:厚生労働省|介護員養成研修の取扱細則について/株式会社エス・エム・エス|カイゴジョブアカデミー|ホームヘルパー2級と介護職員初任者研修の違いは?
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介護職員初任者研修を修了すると、訪問介護をはじめ幅広い職場で活躍できるようになります。
具体的にどのような仕事に就けるのか、無資格者との給料差や資格手当、その先のキャリアパスまで知っておくと、研修取得後の働き方をイメージしやすくなります。
次の記事では、初任者研修を活かせる仕事と給料事情を詳しく解説しています。
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介護福祉士とヘルパー、それぞれの資格や役割を理解したうえで、「自分にはどんな職場が合うのだろう?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
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3.給与・年収とキャリアパスの差

資格によって平均給与に差があります。キャリアアップで収入アップが期待できます。
介護職員初任者研修
旧ホームヘルパー2級
324,830円 / 月
介護福祉士
介護分野で唯一の国家資格
350,050円 / 月
月給の差額
+ 25,220円 / 月
年間に換算すると約 302,640円 の差になります
※ 金額は平均給与額を示すもので、勤務先・地域・経験年数などにより実際の支給額は異なります。
平均月給は、介護職員初任者研修の修了者は324,830円、介護福祉士は350,050円で、月額25,220円の差があります。
年間に換算すると約302,640円の収入差となり、介護福祉士の方が優遇されていることが分かります。
資格をステップアップすることで給与アップが期待できるため、長く介護業界で働きたい方は介護福祉士の取得を目指すのがおすすめです。
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介護福祉士の給与は資格手当や処遇改善加算などにより、勤務先や経験年数によっても大きく変わります。
施設別の給与比較や手取り額の実態、収入を着実にアップさせる方法を知っておくと、長く働き続けるためのキャリア戦略が立てやすくなります。
次の記事では、介護福祉士の年収・月収を施設別データとあわせて詳しく解説しています。
4.助成金・支援金を賢く活用しよう

介護資格の取得や就職には費用や時間がかかるため、躊躇している方も多いかもしれません。
教育訓練給付金や求職者支援制度など、自己負担を抑えてキャリアアップを実現できる支援制度をご紹介します。
教育訓練給付金
教育訓練給付金とは?
働く人の能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職を促進することを目的とした制度
厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した場合に、受講にかかった費用の一部が支給されます。
給付金は教育訓練のレベルに応じて3種類に分かれています。タブをクリックして詳細を確認できます。
専門実践教育訓練
中長期的なキャリア形成に資する教育訓練が対象
50%
年間上限 40万円
受講中6か月ごとに支給
70%
年間上限 56万円
資格取得+1年以内に雇用保険被保険者として雇用
80%
年間上限 64万円
受講開始前と比べ賃金が5%以上上昇した場合
失業状態の方が初めて受講+受講開始時45歳未満などの要件を満たす場合に支給(通信制・夜間制を除く)
特定一般教育訓練
速やかな再就職・早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象
40%
上限 20万円
訓練修了後に支給
50%
上限 25万円
資格取得+1年以内に雇用保険被保険者として雇用
一般教育訓練
雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象
20%
上限 10万円
訓練修了後に支給
※ 給付率・上限額は令和6年10月以降に開講する講座の場合。詳しい支給要件はハローワーク等でご確認ください。
受講する講座によって給付率や上限額が異なり、最大で受講費用の80%(年間上限64万円)が支給される場合もあります。
給付金を活用すれば自己負担を大きく抑えてキャリアアップが可能なため、まずは管轄のハローワークに相談して対象講座や支給要件を確認しましょう。

介護職員初任者研修は、特定一般教育訓練か一般教育訓練、
介護福祉士は3種類のいずれかに該当します。
求職者支援制度
求職者支援制度とは?
再就職・転職・スキルアップを目指す方が、給付金を受給しながら無料の職業訓練を受講できる制度
再就職・転職・スキルアップを目指す方へ
求職者支援制度
月10万円の生活支援を受けながら、無料の職業訓練を受講できる制度です。
■ 制度の3つの特徴
生活支援の給付金
月10万円
※訓練期間中の生活を支援するため、収入や資産などの要件を満たした方
職業訓練
無料受講
ハローワーク
就職サポート
■ 訓練受講の主な要件
ハローワークに求職の申込みをしている
雇用保険の被保険者・受給資格者でない
労働の意思と能力がある
ハローワークが訓練の必要を認めた
■ 主な対象者
離職者の方
・雇用保険の対象外だった方
・フリーランス・自営業の廃業者
・雇用保険の受給が終了した方
在職者の方
・一定収入以下のパート勤務で
正社員への転職を目指す方 など
■ 給付金の支給額
職業訓練受講手当
月10万円
通所手当
月上限 42,500円
寄宿手当
月10,700円
■ 給付金の主な支給要件
本人収入が月8万円以下
世帯全体の収入が月30万円以下
世帯の金融資産が300万円以下
居住地以外に土地・建物を所有していない
訓練実施日に全て出席する(原則)
🤝 介護福祉分野の主な訓練コース
介護職員初任者研修科 / 介護職員実務者研修科 など
離職して雇用保険を受給できない方や、収入が一定額以下の在職者などが対象となり、ハローワークが訓練前から終了後まで求職活動をサポートします。
給付金には職業訓練受講手当(月10万円)や通所手当(月上限42,500円)、寄宿手当(月10,700円)もあり、介護分野では介護職員初任者研修科や介護職員実務者研修科のコースが用意されています。
介護分野就職支援金貸付事業
介護分野就職支援金貸付事業とは?
介護の仕事に新たに就く方を支援する制度
介護分野へ就職する方への支援制度
介護分野就職支援金貸付事業
■ 対象者(すべての条件を満たす方)
介護未経験者・無資格の方・無職の方で、所定の研修を修了した方
介護保険サービス事業所等で介護職員等として就職した方
就職支援金利用計画書を提出した方
■ 貸付金額
20万円以内
介護の仕事に就職するための費用
★ 返済免除
貸付後に介護職員等として
介護分野で2年間勤務すると
返済が全額免除されます。
介護未経験者・無資格の方・無職の方で所定の研修を修了し、介護保険サービス事業所等で介護職員等として就職、就職支援金利用計画書を提出した方が対象となります。
貸付金額は介護の仕事に就職するための費用として20万円以内で、貸付後に介護職員等として介護分野で2年間勤務すると、返済が全額免除されます。
参考:厚生労働省|介護職として再就職をお考えの方、初めて働くことをお考えの方へ(再就職準備金、就職支援金のご案内)
介護福祉士修学資金貸付事業
介護福祉士修学資金貸付事業とは?
介護福祉士養成施設に在学(入学予定)の方を対象とした支援制度
介護福祉士を目指す方への支援制度
介護福祉士修学資金貸付事業
■ 対象者
介護福祉士養成施設に在学(入学予定)の方
■ 貸付金額
月額
5万円以内
入学準備金
20万円以内
就職準備金
20万円以内
国家試験対策費
4万円/年度
■ 貸付期間
養成施設に在学する期間
★ 返済免除
卒業後に介護福祉士として
介護の業務に5年間勤務すると
返済が全額免除されます。
在学期間中、月額5万円以内の修学資金に加え、入学準備金・就職準備金として各20万円以内、国家試験対策費として年度ごとに4万円以内の貸付を受けられます。
卒業後に介護福祉士として介護の業務に5年間勤務することで、返済は全額免除されます。介護福祉士を目指す方の学びと就職を、経済的にしっかりとサポートする制度です。
参考:厚生労働省|介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ(修学資金貸付制度のご案内)
5.介護福祉士とヘルパーの違いを理解してキャリアアップを目指そう
介護福祉士とヘルパー(訪問介護員)の違いは、国家資格か入門研修修了者かという点にあり、業務範囲・給与・キャリアの幅にも差が生まれます。
未経験の方でも介護職員初任者研修からスタートし、実務者研修・介護福祉士へと段階的にステップアップできる仕組みが整っています。
教育訓練給付金や求職者支援制度、修学資金貸付などの助成制度を上手に活用すれば、経済的な負担を抑えながら、自分に合ったペースで国家資格取得を目指せます。
■キャリアアップを目指すなら、まずは職場選びから
資格取得支援制度が整った職場や、実務経験を積みながらステップアップできる職場を選ぶことが、無理なくキャリアを伸ばすカギとなります。
一人で求人を探すのが不安な方は、介護業界に詳しいエージェントに相談してみるのもおすすめです。
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