「介護福祉士の資格を働きながら取りたい」と考えていませんか。
介護福祉士は、実務経験3年以上と実務者研修の修了という条件をクリアすれば、社会人として働きながらでも十分に取得を目指せる国家資格です。
本記事では、受験資格となる実務経験ルートの詳細、実務者研修のカリキュラムや費用相場、利用できる公的支援制度、資格取得後のキャリアパスまで、働きながら介護福祉士を取得するために必要な情報を分かりやすく解説します。
- 働きながら介護福祉士を目指せる「実務経験ルート」の受験資格と必須条件
- 実務者研修の費用相場と、教育訓練給付金・自治体の貸付制度など費用負担を軽減する支援制度
- 介護福祉士取得による給与アップの目安とサービス提供責任者・ケアマネジャーへのキャリアパス
1.働きながら介護福祉士になることは可能?

介護福祉士の資格を取得するためには、主に「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」「実務経験ルート」のいずれかを選択することになります。
このうち、すでに社会人として働いている方の大半が選択しているのが「実務経験ルート」です。

養成施設や福祉系高校に通う場合、数年間の通学が必要となり、学費や時間の面で大きな負担がかかります。
一方で、実務経験ルートは、現場での実務経験を積みながら受験資格を満たすことができるため、現在の生活基盤を維持したまま無理なく挑戦できるのが特徴です。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]受験資格
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実務経験ルート以外にも、介護福祉士には4つの取得ルートがあります。
養成施設ルートや福祉系高校ルートなど、それぞれの特徴や要件、合格率78.3%の試験難易度まで詳しくまとめた記事があります。
自分に最適なルートを選ぶための参考に、ぜひあわせてご覧ください。
2.「実務経験ルート」の受験資格を分かりやすく解説

実務経験ルートで国家試験を受験するには、「実務経験3年以上」と「実務者研修の修了」という2つの必須条件があります。
それぞれの細かい要件や対象となる施設・職種について詳しく見ていきましょう。
「実務経験3年以上」の正確な日数計算
1つ目の条件は、「実務経験3年以上」です。ただし、単に3年間在籍していればよいというわけではありません。
国家試験の要件では、非常に厳密な日数計算が定められています。

具体的には、「従業期間が3年(1,095日)以上」かつ「従事日数が540日以上」の両方を満たす必要があります。
従業期間
施設に在籍している期間のことです。
この期間には、産休や育休、病欠などで実際に働いていない期間も含まれます。
従事日数
実際に介護の業務に従事した日数のことです。
有給休暇や出張、研修などで介護業務を行わなかった日は含まれません。
パートや派遣スタッフであっても、この日数の基準を満たせば受験資格を得ることができます。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]受験資格:実務経験+実務者研修
実務経験の対象となる施設と職種・対象外となる業務
実務経験として認められるには、対象となる施設で、指定された職種として働く必要があります。
特別養護老人ホームやデイサービス、訪問介護事業所など、直接的な介護サービスを提供する施設での業務が対象となります。

一方で、生活相談員やケアマネジャー、看護助手、事務員など、主たる業務が直接的な介護(身体介護や生活援助など)ではない場合は、実務経験として認められないため注意が必要です。
ご自身の現在の業務が対象となるかどうか、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]受験資格:実務経験の範囲
もう一つの必須条件「実務者研修」の修了
実務経験ルートの2つ目の必須条件が、「介護福祉士実務者研修」の修了です。
この研修は、より質の高い介護サービスを提供するための知識と技術を身につけることを目的としています。
実務者研修では、主な内容は以下のとおりです。
- 社会福祉制度(介護保険等)
- 認知症の理解
- 医療の知識
- 障害の理解
- 介護技術
- 介護過程
- たんの吸引、経管栄養 など

実務者研修は無資格者で計450時間のカリキュラムを修了する必要があります。
ただし、初任者研修修了者は130時間、訪問介護員2級は約148時間、基礎研修修了者は400時間が免除され、保有資格に応じて受講時間を大幅に短縮できます。
なお「医療的ケア」50時間は全員が受講必須です。
参考:厚生労働省|実務者研修の指定基準について/実務者研修における「他研修等の修了認定」の留意点について
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実務者研修は介護福祉士取得に欠かせない研修ですが、受験資格や免除科目、費用の相場、給付金の活用方法まで気になる点は多いものです。
無資格から介護福祉士を目指す方向けに、実務者研修の全体像を詳しく解説している記事がありますので、研修前にぜひ確認しておきましょう。
3.実務者研修は働きながら通える?スケジュールと期間

実務者研修は、自宅での学習(通信教育)と、実際に教室に通って学ぶスクーリング(通学)を組み合わせて受講するのが一般的です。
| 学習項目 | 受講期間 |
|---|---|
| 自宅学習 | 4~6ヶ月程度(保有資格による) |
| スクーリング(通学) | 7日間程度 |
知識を問われる科目は、スマートフォンやテキストを使って自宅で自分のペースで進めることができます。
一方、介護過程や医療的ケアといった実践的な技術は、実際に教室へ通い、専門の講師から直接指導を受けます。
スクーリングの日数は、無資格からのスタートであっても概ね数日間程度であり、働きながらでも計画的に通えるスケジュールが組まれています。
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4.資格取得にかかる費用と公的支援制度

実務者研修の受講費用は8〜15万円が相場ですが、教育訓練給付金や求職者支援制度、自治体の貸付制度など費用負担を軽減する支援制度が多数用意されています。
それぞれの内容と活用方法を紹介します。
実務者研修の受講にかかる費用の目安
実務者研修の受講費用は、保有資格によりますが、8〜15万円が相場です。
無資格から受講する場合の費用の目安は、約10~15万円程度です。初任者研修を修了している場合は、約8万円程度が目安になります。

各スクールの割引キャンペーンや国や自治体などの助成金・給付金制度を利用するのがおすすめです。
教育訓練給付金
教育訓練給付制度とは
働く方の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職促進を図る制度
この制度を利用すると、一定の条件を満たした場合、受講費用の20~80%が給付金として支給されます。
制度の利用には事前の手続きが必要となるため、受講を検討する際は、早めにハローワークへ相談に行くことをおすすめします。
専門実践教育訓練
中長期的なキャリア形成を目指す教育訓練で、下記のような上限金額の手厚い支援制度です。
- 受講中は経費の50%(年間上限40万円)が6か月ごとに支給
- 資格取得後に雇用された場合は70%、さらに賃金が5%以上上昇すれば80%(年間上限64万円)まで給付率が上がる
※2024年9月までに開講した講座は最大で受講費用の70%(年間上限56万円)の支給
特定一般教育訓練
速やかな再就職と早期のキャリア形成を支援する教育訓練で、再就職を目指す方に適した制度です。
- 訓練修了後に経費の40%(上限20万円)が支給
- 資格取得後に雇用された場合はさらに50%(上限25万円)まで給付率の引き上げ
※2024年9月までに開講した講座は受講費用の40%(年間上限20万円)の支給
一般教育訓練
雇用の安定と就職促進に役立つ幅広い教育訓練が対象です。
比較的気軽に利用できる制度で、様々な職業スキルの習得を支援します。
- 訓練修了後に経費の20%(上限10万円)が支給
訓練修了後に経費の20%(上限10万円)が支給されます。
比較的気軽に利用できる制度で、様々な職業スキルの習得が可能です。

実務者研修と介護福祉士は、3種類のいずれかの訓練に該当します。
詳しくは管轄のハローワークご相談ください。
求職者支援制度
求職者支援制度とは?
雇用保険を受給できない求職者などが、月10万円の生活支援給付金を受けながら無料の職業訓練を受講できる制度
離職者だけでなく一定収入以下の在職者も対象。
給付金には本人収入月8万円以下・世帯収入月30万円以下・金融資産300万円以下などの要件があります。
要件を満たさなくても無料の訓練のみ受講可能で、通所手当(上限月42,500円)や寄宿手当も支給される心強い支援制度です。
職業訓練
職業訓練とは?
ハローワークで申し込める無料の訓練制度(テキスト代等は実費)
介護・デジタル・医療事務など希望職種に応じた多彩なコースを用意。介護実務者研修修了+実務3年で介護福祉士の受験資格も得られます。
ひとり親への給付金や介護就職支援金(最大20万円・条件で返還免除)など支援も充実。
2か月程度の短期コースや託児付き、職場体験可能なコースもあり、育児中の方も学びやすい環境です。
参考URL:厚生労働省|介護分野の職業訓練(求職者支援訓練)」を受講しませんか
各自治体の補助金・助成金事業
費用負担を軽減する制度として、各自治体が独自の補助金・助成金事業を実施しています。
例えば「実務者研修受講資金貸付制度」で、最大20万円を借りることができ、資格取得後に介護職員として一定期間働けば返済が免除される制度です。
都道府県独自の資格取得補助金や、市区町村単位の助成も存在します。

支給額・要件は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体への確認が必須です。
参考:東京都福祉協議会|実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業
▼一緒に読みたい記事
実務者研修は働きながら取得できますが、費用・期間・スクール選びのポイントをあらかじめ把握しておくと安心です。
助成金の活用方法やカリキュラムの詳細まで網羅した記事で、受講前に知っておくべき情報をまとめて確認しておきましょう。
5.介護福祉士を取得するメリットとキャリアへの影響

働きながら介護福祉士を取得することには、給与アップやキャリアアップなど確実なメリットがあります。
資格手当による収入の変化や、サービス提供責任者・ケアマネジャーへの道について解説します。
資格手当などによる給与水準の向上
介護福祉士を取得する最大のメリットは、給与水準の明確な向上です。多くの施設では、国家資格の保有者に対して「資格手当」を支給しています。
| 資格区分 | 月給 | 年収換算(月給×12ヶ月) |
|---|---|---|
| 介護福祉士 | 350,050円 | 約420万円 |
| 実務者研修 | 327,260円 | 約393万円 |
| 保有資格なし | 290,620円 | 約349万円 |
介護職員の平均給与額(月給・常勤)は、保有資格によって差があります。
最も高いのは介護福祉士で350,050円、次いで実務者研修修了者が327,260円、保有資格なしは290,620円。
介護福祉士は資格なしと比べて月約6万円、実務者研修でも月約3.6万円のプラスとなり、資格取得が給与アップに直結することが分かります。
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サービス提供責任者やケアマネジャーへのキャリアパス
介護福祉士の資格は、将来のキャリアパスを大きく広げるための重要なパスポートとなります。
例えば、訪問介護事業所で必須となる「サービス提供責任者」は、以下の資格を持つことで要件を満たすことができます。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 旧介護職員基礎研修修了者
- 旧1級課程修了者
- 介護職員初任者研修課程修了者(3年以上介護等の業務に従事)

サービス提供責任者は、訪問介護事業において、計画書の作成・サービス調整・ヘルパーの管理などを行います。
さらに、現場でのリーダー経験を積み重ねることで、将来的に「ケアマネジャー(介護支援専門員)」などの上位資格に挑戦する道も開かれます。
介護福祉士の取得は、長く安定して介護業界で活躍し、専門性を高めていくための強固な土台となるのです。
参考:厚生労働省|訪問介護における サービス提供責任者について
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介護福祉士を取得した後のキャリアアップ先として、ケアマネジャーを目指す方も多くいます。
ケアマネジャーの仕事内容や資格取得の条件、平均年収まで詳しく解説している記事があります。
将来のキャリアプランを描く上で、ぜひ参考にしてみてください。
6.介護福祉士を働きながら取得して、キャリアと収入を着実に伸ばそう
介護福祉士は、働きながら取得できる国家資格です。実務経験3年以上と実務者研修の修了が主な条件で、現職を続けながら無理なく挑戦できます。
教育訓練給付金や求職者支援制度、自治体の貸付制度など費用負担を軽減する支援も充実。
取得後は資格手当による給与アップに加え、サービス提供責任者やケアマネジャーへのキャリアパスも開けます。
制度を賢く活用し、長く活躍できる介護のプロを目指しましょう。
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介護福祉士を取得した後の年収・月収の実態や、施設形態別の給与比較、さらに収入を上げる具体的な方法を知りたい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。
資格取得後にどの職場を選ぶかで収入が大きく変わります。転職先選びの参考にぜひお役立てください。
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