介護業界で唯一の国家資格である「介護福祉士」。
本記事では、介護福祉士試験の概要や受験資格、合格率の推移や第38回試験から導入された「パート合格制度」、効率的な勉強法、資格取得後のキャリアプランまでを徹底解説します。
未経験から目指す方にも役立つステップアップ戦略もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 介護福祉士試験の概要・受験資格・合格率など基本情報
- 働きながら合格を目指すための効率的な勉強法と対策
- 資格取得後の給与相場やキャリアアップの選択肢
1.介護福祉士とは?

介護福祉士とは
心身の障害により日常生活に支障がある人に対し、状況に応じた介護を行い、本人や介護者へ介護の指導をする者
介護福祉士は、専門的な知識と技術をもって、身体上または精神上の障害により日常生活を営むのに支障がある人に対して、入浴・排泄・食事などの介護を行う国家資格です。
利用者本人だけでなく、その家族への介護指導も担います。
1987年制定の「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく資格で、介護現場におけるリーダー的役割を期待され、チームケアの推進や質の高いサービス提供を担う存在です。
2.介護福祉士試験の概要

介護福祉士試験は毎年1月下旬に全国で実施される国家試験です。
試験日程や会場、出題される13科目の内容、4つの受験資格ルートなど、受験を考える方が最初に押さえておきたい基本情報をまとめました。
介護福祉士試験概要
受験申し込み
8月上旬〜9月上旬
試験日
1月下旬
合格発表
3月中旬
試験会場
全国35試験地
■ 人間と社会
■ こころとからだのしくみ
■ 医療的ケア
■ 介護
■ 総合問題
介護福祉士国家試験は、毎年1月下旬に全国35都道府県の会場で実施されます。
受験申し込みは8月上旬から9月上旬に受け付け、合格発表は3月中旬に行われます。
試験科目は全13科目で、「人間と社会」「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」「介護」「総合問題」の5領域から幅広く出題され、介護職に必要な知識と技術が総合的に問われる内容となっています。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]試験概要
パート合格(合格パートの受験免除)の導入
第38回(令和7年度)介護福祉士国家試験から、パート合格制度が導入されています。
試験科目を3パートに分割し、合格基準に達したパートは翌年・翌々年の受験が免除されます。
第38回は全受験者が全パートを受験しますが、第39回以降は全パート受験か不合格パートのみの受験を選択可能です。
ただし不合格パートの一部のみの受験はできません。学習負担の軽減と受験者の利便性向上が期待される新制度です。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|パート合格(合格パートの受験免除)がスタートします!/合格基準/厚生労働省|介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの受験免除)の 導入について
受験資格
介護福祉士 国家試験 受験資格ルート
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社会福祉士養成施設等
保育士養成施設等
+喀痰吸引等研修
実務経験 9ヶ月以上が必要
※入学年度・研修の修了状況により受験資格の要件が異なります。
介護福祉士の受験資格は4つのルートに分かれており、それぞれ求められる学歴や実務経験、研修の修了状況が異なります。
- 養成施設ルート:高校卒業後に介護福祉士養成施設で2年以上学ぶ方法
- 実務経験ルート:実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要
- 福祉系高校ルート:指定科目を修めて卒業する方法
- EPAルート:経済連携協定に基づき来日した候補者が対象
自分がどの区分に該当するかを正しく把握し、必要な要件を満たしたうえで受験に臨むことが大切です。
養成施設での学習経験や現場での実務経験など、ご自身の状況に合ったルートを選び、計画的に準備を進めていきましょう。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]受験資格
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受験資格の中でも、最も多くの方が選ぶのが「実務経験ルート」です。「3年・540日」という要件の計算方法や、新制度の詳細について詳しく知りたい方は、以下の記事で丁寧に解説しています。自分が受験できる時期をいまのうちに確認しておきましょう。
3.介護福祉士試験の難易度と合格率の推移

介護福祉士国家試験 合格率の推移
第29回〜第38回(10回分)の合格率データ
最高合格率
84.3%
第35回
最低合格率
69.9%
第32回
平均合格率
74.5%
10回平均
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※おおむね70%台で推移し、第35回(令和4年度)で過去最高の84.3%を記録。
※合格率は年度により変動するため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
近年の介護福祉士国家試験の合格率は、例年70%台で推移しています。
他の国家資格と比較すると高く感じるかもしれませんが、決して「誰でも受かる簡単な試験」ではありません。
受験者の多くは、養成施設で学んだ学生や、現場で3年以上の経験を積んだ「プロの予備軍」です。
十分な準備なしに挑めば、足切り点に阻まれるリスクがあります。
参考:厚生労働省|介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移
4.合格を確実にするための勉強スケジュールと対策

働きながらの受験では、限られた時間をいかに有効活用するかが合否を分けます。
必要な勉強時間の目安や過去問の活用法、頻出分野の攻略法など、合格に向けた学習指標と対策方法を具体的に提示します。
1日1時間からの学習習慣
介護福祉士試験の勉強時間は合計で250時間ほどです。勉強時間や期間など個人によりますが、3~6ヶ月の期間を、1日1~2時間ほどで勉強するのが一般的です。
まとまった勉強時間を確保するのは難しいものです。そのため、通勤時間や休憩時間を利用した「隙間学習」を徹底しましょう。
参考:株式会社ユーキャン|カイゴジョブアカデミー|介護福祉士の試験の勉強時間はどのくらいが目安?
過去問活用法と、頻出分野を重点的に攻略するコツ
効率的な対策の王道は「過去問」です。直近3〜5年分の過去問を繰り返し解き、出題傾向を掴みましょう。
介護福祉士試験には「全科目群で得点があること」という合格基準があるため、苦手科目を作らないことが重要です。
頻出の「人間の尊厳と自立」「介護の基本」などを重点的に押さえつつ、法改正などの最新情報をチェックすることも忘れないでください。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[介護福祉士国家試験]合格基準
5.資格の重要性と受験のメリット

介護福祉士は、信頼や評価だけでなく、実際の給与・待遇面でも大きなメリットをもたらす資格です。
平均年収や資格手当の支給率など、客観的なデータを交えながら資格取得の価値を解説します。
介護系唯一の国家資格が持つ「信頼」と「評価」
介護福祉士は、介護系で唯一の国家資格であり、専門的な知識と技術を国が認めた証として、現場や求職市場で高い信頼と評価を得られます。
利用者やその家族からは安心して介護を任せられる存在として信頼され、事業所からは即戦力かつリーダー候補として評価される傾向があります。
資格手当の支給や役職登用の対象となるケースも多く、キャリアアップや待遇面でも大きなメリットをもたらす資格です。
介護福祉士の給与相場
平均月収・平均年収
介護福祉士(常勤)の平均月収は約350,050円、年収換算では約4,200,600円となっています。
この金額は基本給に各種手当や一時金(4〜9月支給額の1/6)を加えたもので、資格取得者は資格手当や処遇改善加算の対象となるため、無資格者と比べて安定した収入を得やすいのが特徴です。
国家資格ならではの評価が、給与水準にも反映されています。
参考:厚生労働省|令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
手当の支給割合と相場
介護福祉士の資格手当
月額平均支給額
9,055円/月
資格手当「あり」の事業所における平均額
資格手当の支給率
62.9%
支給あり
支給状況の内訳
-
62.9%
手当あり
279,170人
-
34.0%
手当なし
150,764人
-
3.2%
無回答
14,097人
※約6割以上の事業所で資格手当が支給されており、平均額は月9,055円。
※支給額・支給率は事業所により異なります。
介護福祉士に対して資格手当を支給している事業所は62.9%にのぼり、約6割以上の職場で手当の支給が実施されています。
支給額は事業所により異なりますが、月額平均は9,055円となっており、年間では約10万円以上の収入増につながる水準です。
国家資格である介護福祉士を取得することで、待遇面でも確かなメリットが得られます。
参考:厚生労働省|社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の「就労状況調査」(速報版)について
▼あわせて読みたい
資格取得後の年収をさらに詳しく知りたい方は、施設形態別の月収・手取り額・処遇改善加算の仕組みまで網羅した記事も参考にしてみてください。働く施設によって給与がどれだけ変わるのか、具体的な数字で確認できます。
6.未経験から目指すためのステップアップ戦略

未経験から目指す場合は、まず「介護職員初任者研修」を修了し、現場での経験を積みながら実務者研修、そして国家試験へと段階的に進むのが理想的です。
未経験から介護福祉士を目指すステップ
段階的にスキルと資格を積み上げて国家資格へ
介護職員初任者研修
介護の基礎知識と技術を学ぶ入門資格。未経験からのスタートに最適。
実務経験を積む
現場で実践スキルを磨きながら、受験資格となる3年以上の実務経験を目指す。
実務者研修を修了
より専門的な介護技術と医療的ケアを学ぶ。国家試験の受験に必須の研修。
★ GOAL ★
介護福祉士 国家試験 合格
介護系で唯一の国家資格を取得
※初任者研修の修了時間は所定のカリキュラム時間。
※実務者研修は保有資格により一部科目が免除される場合があります。
最初から国家資格を見据えて計画的に学習を進めることで、現場での業務一つひとつが試験勉強に直結し、モチベーションを維持しやすくなります。
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7.介護福祉士試験の合格後のキャリアプラン

資格取得後は、チームリーダーやサービス提供責任者といった管理職への道が開けます。
また、特定の分野を極める「スペシャリスト」としての道や、ケアマネジャー(介護支援専門員)へのステップアップなど、選択肢は多岐にわたります。
介護福祉士のキャリアアップ先
現場責任者とケアマネジメントの2つのキャリアパス
サービス提供責任者
訪問介護の計画・管理を担う現場リーダー
訪問介護事業所に配置が義務付けられているリーダー的ポジション。訪問介護計画の作成や利用者・家族との調整、訪問介護員の指導・管理までを一手に担う、現場運営の中核を担う専門職です。
対象となる資格
主な業務内容
訪問介護計画の作成
利用申込みの調整
利用者の状態変化・意向の定期的な把握
居宅介護支援事業者との連携(担当者会議出席等)
訪問介護員への具体的援助方法の指示・情報伝達
訪問介護員の業務実施状況の把握
訪問介護員の業務管理
訪問介護員への研修・技術指導等
介護支援専門員
ケアプラン作成・連絡調整の専門職
要介護者・要支援者の相談や心身の状況に応じ、サービスを受けられるようケアプランを作成し、市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う専門職。介護支援専門員証の交付を受けた者を指します。
主な役割
ケアプラン
作成
連絡・調整
相談支援
資格取得までの流れ
実務経験5年以上
保健医療福祉分野での経験
実務研修受講試験に合格
都道府県が実施する試験
実務研修を修了
ケアマネジメントを学ぶ
介護支援専門員証の交付
ケアマネジャーとして業務スタート
さらに、介護福祉士資格取得後から実務経験5年後などの条件をクリアすると、認定介護福祉士の取得をすることも可能になります。
認定介護福祉士は、介護チームのリーダーとして現場をまとめながら、医療・看護・リハビリなど多職種との橋渡し役を担い、利用者一人ひとりに最適なケアを実現する要となる存在です。
認定介護福祉士とは
介護福祉士の上位資格 / より高度な介護実践を担う専門職
居住・施設系サービスを問わず、多様な利用者や生活環境、サービス提供形態に対応し、より質の高い介護実践や介護サービスマネジメント、介護と医療の連携強化、地域包括ケア等に対応するための考え方・知識・技術を認定介護福祉士養成研修で修得した介護福祉士。
前提条件(受講要件)
介護福祉士の資格を有していること
介護福祉士資格取得後の実務経験が5年以上
介護職員を対象とした現任研修の100時間以上の研修歴を有していること
研修実施団体の課すレポート課題または受講試験において一定水準の成績を修めていること(免除の場合有)
▼ その他の要件
介護職の小チームのリーダーとしての実務経験を有すること、居宅/居住(施設系)サービス双方での生活支援経験があること。※受講要件のない項目もあります。
認定介護福祉士に期待される役割
- 介護チームの
リーダー - 多職種連携の
推進役 - 地域包括ケアへの
貢献
このように、介護福祉士は、取得後も管理職・スペシャリスト・ケアマネジャー・認定介護福祉士など、多彩なキャリアパスへと広がる、将来性豊かな国家資格です。
参考:認定介護福祉士認証・認定機構|認定介護福祉士の役割と実践力/認定介護福祉士になるには/厚生労働省|介護支援専門員(ケアマネジャー)/訪問介護におけるサービス提供責任者について
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ケアマネジャーへのステップアップを具体的に検討するなら、仕事内容・資格取得の流れ・給与水準まで詳しく把握しておくことが大切です。介護福祉士取得後のキャリアとして最も人気の高いルートを、まずは全体像から確認してみましょう。
8.介護福祉士試験の全体像と合格後の未来
介護福祉士試験は、介護系で唯一の国家資格を取得できる登竜門であり、合格率70%台と十分な対策で挑戦可能な試験です。
合格後は資格手当や安定した給与が得られるだけでなく、サービス提供責任者やケアマネジャー、認定介護福祉士など多彩なキャリアパスも広がります。
未経験からでも段階的にステップアップが可能なため、将来のキャリア形成に向けた準備を進めていきましょう。
■介護福祉士の資格を活かせる職場を探すなら
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介護福祉士として働くことが「勝ち組」といわれる理由や、実際に高収入を実現するための戦略について、データをもとに詳しく解説した記事もあわせてご覧ください。資格取得のゴールの先に広がる可能性をあらかじめ知っておくと、学習のモチベーションにもつながります。






