社会福祉士と精神保健福祉士は、どちらも人の暮らしを支える国家資格ですが、支援対象や活躍の場、年収、難易度には明確な違いがあります。
本記事では、社会福祉士と精神保健福祉士の違いを仕事内容・年収・合格率・資格取得ルートなど多角的に比較し、自身に合った道の選び方を分かりやすく解説します。
- 社会福祉士と精神保健福祉士の支援対象・仕事内容・就職先の違い
- 両資格の平均年収や国家試験の合格率・難易度の比較
- 自分に合った資格の選び方とダブルライセンスのメリット
1.社会福祉士と精神保健福祉士の主な違いとは?

社会福祉士と精神保健福祉士は同じ相談援助の専門職ですが、支援対象や仕事内容、活躍の場には大きな違いがあります。
ここでは法律上の定義から実際の業務内容、主な就職先まで、両者の違いを具体的に比較していきます。
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社会福祉士について、より詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてみてください。
仕事内容や平均年収403万円の実態、近年合格率が58.1%まで上昇している国家試験の難易度など、社会福祉士の全体像を網羅的に解説しています。
資格の本当の価値や将来性まで分かる内容となっており、本記事と併せて読むことで、社会福祉士という職業への理解がより一層深まります。
社会福祉士と精神保健福祉士|支援対象者の違い
社会福祉士
社会福祉士及び介護福祉士法では、社会福祉士は以下のように定義されています。
身体・精神の障害や環境上の理由で日常生活に支障がある人の福祉に関する相談に応じ、助言や指導、福祉サービスの提供を行います。
また、医師や保健医療サービス提供者など関係者との連絡・調整を担う、福祉と医療をつなぐ専門職です。
精神保健福祉士
一方、精神保健福祉士法では、精神保健福祉士は以下のように定義されています。
精神科病院や社会復帰施設の利用者、精神保健に課題を抱える人に対して、地域相談支援の利用や社会復帰、精神保健に関する相談に応じ、助言や指導、日常生活への適応に必要な訓練などの援助を行う専門職です。

社会福祉士は「福祉と医療の橋渡し役」。
精神保健福祉士は、対象が精神障害をお持ちの方や精神保健に課題を抱える方に絞られた「心の領域に特化した専門職」です。
社会福祉士と精神保健福祉士|仕事内容と現場での役割
社会福祉士
社会福祉士の主な業務は4つあります。
- 相談:福祉に関する悩みや困りごとに応じる
- 助言・指導:解決に向けて専門的なアドバイスを行う
- 福祉サービスの提供:必要な支援を直接届ける
- 関係者との連絡・調整:医師や保健医療従事者など多職種と連携
このように社会福祉士は、相談から具体的な支援、多職種との連携までを一貫して担う相談援助の専門職です。
生活に困難を抱える方が安心して暮らせる環境を整える、現代社会に欠かせない存在と言えるでしょう。
精神保健福祉士
精神保健福祉士の主な業務は3つあります。
- 相談援助:給付制度や社会資源など、精神障害者が知らない情報を提供
- 助言・指導:退院後の住居や再就労の選択を分析し、社会復帰の方向性を提案
- 日常生活への適応訓練:長期入院により生活技能が低下した方に、洗面や清掃、公共交通機関の利用などを習得させる
このように精神保健福祉士は、相談から実践的な訓練まで、精神障害者の社会復帰を多角的にサポートする専門職です。
参考:厚生労働省|業務内容
社会福祉士と精神保健福祉士|主な就職先と働く環境
社会福祉士
社会福祉士は活躍の場が非常に幅広い専門職です。
・地域包括支援センター
・就労支援事業所
・児童養護施設
ワーカーとして勤務)
・社会福祉協議会
高齢者分野では特別養護老人ホームや地域包括支援センター、障害者分野では障害者支援施設や就労支援事業所で活躍します。
また、児童相談所や児童養護施設などの児童分野、医療ソーシャルワーカーとして病院に勤務するケース、生活保護を担当する福祉事務所や社会福祉協議会など、行政・医療・福祉の各領域で必要とされます。
精神保健福祉士
・総合病院精神科
・福祉事務所
・精神保健福祉センター
・矯正施設
・地域活動支援センター
・グループホーム/ケアホーム
・就労移行/継続支援事業
・自立訓練事業
・救護施設・児童養護施設等
・ハローワーク等
・介護保険関連施設
・教育機関
・企業
精神科病院や総合病院精神科などの医療機関を中心に、自治体・保健所・精神保健福祉センターなどの福祉行政機関、保護観察所や矯正施設などの司法領域でも活躍します。
さらに、相談支援事業所・グループホーム・就労支援事業所などの生活支援サービス、社会福祉協議会・ハローワーク・教育機関・企業など、医療から地域生活まで活躍の場が非常に幅広いです。
参考:公益社団法人日本保健福祉士協会|精神保健福祉士について
■福祉・介護分野でのキャリアをお考えの方へ
社会福祉士や精神保健福祉士の活躍の場は、医療機関から福祉施設、行政機関まで多岐にわたります。
自分のスキルや希望に合った職場を見つけるには、業界に精通した転職エージェントの活用がおすすめです。
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2.社会福祉士と精神保健福祉士の年収・給料水準と国家試験の難易度

資格を選ぶうえで気になるのが収入と試験の難しさです。
社会福祉士と精神保健福祉士の平均年収や男女別・年代別の給料水準、国家試験の合格率の推移をデータで比較し、それぞれの特徴を分かりやすく解説します。
平均年収や給料水準
社会福祉士の平均年収は403万円、精神保健福祉士は404万円とほぼ同水準です。
どちらも男女ともに50代でピークを迎え、社会福祉士は男性564万円・女性421万円、精神保健福祉士は男性541万円・女性451万円となります。
男女差は社会福祉士が約108万円、精神保健福祉士が約86万円と、精神保健福祉士の方がやや小さい傾向です。
参考:厚生労働省|社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の「就労状況調査」(速報版)について
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社会福祉士の年収についてさらに深く掘り下げたい方は、こちらの記事がおすすめです。
施設別・年代別の詳細な給料データから、収入アップにつながる具体的な戦略まで網羅的に解説しています。
「もっと収入を上げたい」「キャリアアップで年収を伸ばしたい」と考えている方に役立つ実践的な情報が満載です。
国家試験の難易度と合格率
社会福祉士
社会福祉士国家試験 合格率の推移
第28回〜第37回(10回分)の合格率データ
最高合格率
58.1%
第36回
最低合格率
25.8%
第29回
平均合格率
36.0%
10回平均
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※第28〜34回まで25〜31%台で推移していたが、第35回(令和4年度)から大幅に上昇し、第36回で過去最高の58.1%を記録。
※合格率は年度により変動するため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
社会福祉士国家試験の合格率は、過去10回の平均で約36.0%と、難関国家資格の一つに位置づけられます。
第28回から第34回までは25〜31%台で推移し、3人に1人程度しか合格できない厳しい試験でした。しかし第35回(令和4年度)から大きく上昇し、第36回で過去最高の58.1%を記録。
直近の第37回も56.3%と高水準を維持しており、近年は合格しやすい傾向に変わってきています。
参考:厚生労働省|社会福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移
精神保健福祉士
精神保健福祉士国家試験 合格率の推移
第19回〜第28回(10回分)の合格率データ
最高合格率
78.2%
第28回
最低合格率
62.0%
第19回
平均合格率
67.0%
10回平均
← 横にスクロールできます →
※第19〜24回までは60〜65%台で推移していたが、第25回(令和4年度)から70%台に上昇し、第28回で過去最高の78.2%を記録。
※合格率は年度により変動するため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
精神保健福祉士国家試験の合格率は、過去10回の平均で約67.0%と、他の福祉系国家資格と比較して高水準で推移しています。
第19回から第24回までは60〜65%台で安定していましたが、第25回以降は70%台に上昇し、直近の第28回では過去最高となる78.2%を記録。
一貫して6割以上の受験者が合格しており、しっかりとした対策を行えば十分に合格を狙える試験といえます。
参考:厚生労働省|精神保健福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移
3.社会福祉士と精神保健福祉士、どちらを目指すべき?適性から考える選び方

資格選びでは、自分の性格や価値観に合った職種を見極めることが大切です。
社会福祉士と精神保健福祉士、それぞれに向いている人の特徴を整理しながら、適性に合った進路を考えるヒントをお伝えします。
社会福祉士に向いている人の特徴
社会福祉士に向いているのは、人の話に耳を傾け、相手の立場に立って物事を考えられる共感力の高い人です。
生活に困難を抱える方を支援する仕事のため、忍耐強く誠実に向き合える姿勢が欠かせません。また、医療・行政・地域など多職種と連携するため、コミュニケーション能力や調整力も重要です。
法律や制度の知識を活用する場面も多く、学び続ける意欲のある人、そして人の役に立ちたいという強い想いを持つ人が活躍できる仕事です。
精神保健福祉士に向いている人の特徴
精神保健福祉士に向いているのは、精神的な悩みを抱える方に対して偏見を持たず、ありのままを受け止められる人です。
回復には時間がかかるため、焦らず相手のペースに寄り添える忍耐力と傾聴力が求められます。
また、感情労働が多い仕事のため、自分自身の心の状態を整えるセルフケア能力も重要です。
医療機関や行政、地域の支援者と連携する調整力に加え、当事者の人権を尊重し、その人らしい生活を共に考えられる人が活躍できる仕事です。
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社会福祉士に向いている人の特徴をさらに詳しく知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。
共感力やコミュニケーション能力など、現場で本当に求められる5つの適性を性格タイプ別に解説。
さらに不向きと感じる方への具体的な対策や、自分の性格に合った就職先の選び方までご紹介しています。
4.社会福祉士と精神保健福祉士|資格取得へのルートと学校選びのポイント

社会福祉士と精神保健福祉士の受験資格を得るには、複数のルートが用意されています。
学歴や実務経験ごとに進むべき道が異なるため、ここでは両資格の取得ルートと、社会人が学校を選ぶ際のポイントを整理します。
受験資格を得るための主要なルート
社会福祉士

社会福祉士の受験資格取得には全12ルートが設けられており、学歴や実務経験に応じて道筋が分かれます。
福祉系大学等で指定科目を履修すれば直接受験でき、基礎科目履修者や社会福祉主事養成機関修了者は短期養成施設(6ヶ月以上)、一般大学等の場合は一般養成施設(1年以上)を経て受験します。
児童福祉司等の実務4年から目指す独自ルートも用意されています。精神保健福祉士の場合、申請により一部の試験科目が免除になります。
参考:公益社団法人社会福祉振興・試験センター|[社会福祉士国家試験]受験資格(資格取得ルート図)
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社会福祉士の受験資格について、12ルートそれぞれの詳細や最短で合格を目指す方法をもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
自分の学歴や実務経験からどのルートが最適なのかが明確になり、無駄なく効率的に資格取得を進めるための具体的な手順が分かります。
働きながら受験資格を得たい社会人の方にも参考になる情報が詰まっていますので、ぜひあわせて読んでみてください。
精神保健福祉士

精神保健福祉士の受験資格取得には全11ルートが用意されており、最終学歴や実務経験によって進路が分かれます。
保健福祉系大学等で指定科目を履修すれば直接受験が可能で、福祉系大学等で基礎科目を履修した場合は短期養成施設(6ヶ月以上)、一般大学等の場合は一般養成施設(1年以上)を経て受験します。
社会福祉士の場合、申請をすると一部の試験科目が免除となります。
参考公益社団法人社会福祉振興・試験センター|[精神保健福祉士国家試験]受験資格(資格取得ルート図)
学校選びのポイント
社会人として働きながら資格取得を目指す場合は、通信制の養成施設を活用するのも一つの選択肢です。
ただし、通信制であってもレポート提出やスクーリング(面接授業)、さらに数百時間に及ぶ現場実習がカリキュラムに含まれます。
現在の仕事と学業、そして実習期間のスケジュールを両立できる環境を整えられるかどうかが、学校選びの重要なポイントとなります。
5.【社会福祉士と精神保健福祉士】ダブルライセンスのメリットと考慮すべき点

社会福祉士と精神保健福祉士の両方を取得するダブルライセンスは、キャリアの幅を広げる有効な選択肢です。
共通科目免除によるメリットと、実習負担や費用面など現実的な注意点を整理して解説します。
共通科目免除による取得のメリット
社会福祉士と精神保健福祉士には共通する学習科目が多いため、片方の資格を取得していると、もう一方の試験を受験する際に共通科目が免除されるという大きなメリットがあります。
社会福祉士・精神保健福祉士 共通科目
両資格を併願する場合、共通科目は試験免除の対象
全12科目心理的支援
社会システム
原理と政策
支える法制度
包括的支援体制
基盤と専門職
理論と方法
幅広い生活問題から精神的な課題まで対応できる支援のスペシャリストとして、就職や転職活動において専門性の客観的な証明となります。
参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター|[精神保健福祉士国家試験]よくあるご質問
現実的な注意点
両資格とも長期間の現場実習が必須で、休職を伴う時間的・体力的負担に加え、学費や試験費用といった金銭的負担も小さくありません。
さらに、両領域に関わることで、対人援助職特有のバーンアウト(燃え尽き症候群)」のリスクが高まる懸念もあります。
自身のキャリアプランに本当に両方の資格が必要か、心身の健康も含めて計画的に検討することをおすすめします。
6.社会福祉士と精神保健福祉士の違いを理解して自分に合った道を選ぼう
社会福祉士と精神保健福祉士は、どちらも人の暮らしを支える相談援助の専門職ですが、支援対象や活躍する現場には明確な違いがあります。
幅広い福祉領域で活躍したい方は社会福祉士、精神保健の領域で深く寄り添いたい方は精神保健福祉士が向いているでしょう。
共通科目の免除制度を活用したダブルライセンスも有効な選択肢です。自分の適性と将来像を見つめ、納得のいくキャリアを選んでください。







