社会福祉士は、生活上の困難を抱える人々を支援する国家資格です。福祉系大学での学習や実務経験を活かしたルートなど、12の受験資格ルートがあり、学歴や職歴に応じて最適な道を選べます。
この記事では、各ルートの特徴、養成施設の違い、実習免除の条件、教育訓練給付金などの支援制度まで、社会福祉士を目指す方に必要な情報を網羅的に解説します。
- 社会福祉士になるための12の受験資格ルートと自分に合った選択方法
- 養成施設の種類や実習免除の条件など、社会人が働きながら目指す際のポイント
- 教育訓練給付金や修学資金貸付制度など、活用できる経済的支援制度
1.社会福祉士とは?国家資格の価値と将来性

社会福祉士とは
生活上の困難を抱える人々の相談に応じて助言・支援を行う、国家資格を持つ福祉の専門職
病院、高齢者施設、福祉事務所、児童相談所、社会福祉協議会、学校など多様な現場で活躍し、福祉サービスの利用調整や関係機関との連携調整を担います。
受験には福祉系大学での学習や実務経験が必要で、国家試験合格により資格を取得できます。

ソーシャルワーカーとも呼ばれ、制度や支援の橋渡し役として、誰もが安心して暮らせる地域社会づくりに貢献する重要な職種です。
2.社会福祉士になるには?12の受験資格ルートを解説

社会福祉士の受験資格には12のルートがあり、学歴や職歴に応じて最適な道を選べます。
福祉系大学卒業、実務経験、一般大学卒業など、それぞれのルートの特徴と必要な期間を詳しく解説します。
第1号
大学等
4年
短大等
3年
短大等
2年
大学等
4年
短大等
3年
短大等
2年
主事
養成機関
大学等
4年
短大等
3年
短大等
2年
履修
履修
履修
履修
履修
履修
実務
1年
実務
2年
実務
1年
実務
2年
実務
2年
身体障害者
福祉司
知的障害者
福祉司
老人福祉
指導主事
各
4年
実務
1年
実務
2年
実務
4年
参考:公益社団法人社会福祉振興・試験センター|社会福祉士国家試験
福祉系大学卒業ルート(第1号・第4号・第7号)
福祉系大学または短期大学で指定科目を履修し卒業することで受験資格を取得できるルートです。4年制大学の場合は卒業と同時に受験資格が得られます。
3年制短大では卒業後1年、2年制短大では卒業後2年の相談援助実務経験が必要です。このルートは最も一般的で、在学中に必要な知識を体系的に学べます。
福祉系大学基礎科目履修ルート(第2号・第5号・第8号)
福祉系大学または短期大学で基礎科目を履修し卒業後、短期養成施設等(6ヶ月以上)を修了するルートです。
指定科目ではなく基礎科目の履修となるため、卒業後に追加の学習が必要となります。短大卒業の場合は卒業年数に応じた実務経験も求められます。
基礎科目履修者は大学で福祉の基本を学んでいるため、短期養成施設での学習期間が短縮されています。このルートを選択する場合は在学中に履修内容を確認することが重要です。
社会福祉主事養成機関ルート(第9号)
社会福祉主事養成機関を卒業後、4年間の相談援助実務を経験し、その後短期養成施設等(6ヶ月以上)を修了するルートです。
社会福祉主事として公的機関などで働きながら実務経験を積むことができます。
実務経験を通じて現場の知識とスキルを身につけた上で養成施設で体系的に学べるため、理論と実践を結びつけやすい特徴があります。
福祉系専門職経験ルート(第12号)
児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司、老人福祉指導主事のいずれかの職に4年間従事した後、短期養成施設等(6ヶ月以上)を修了するルートです。
各分野の専門職として豊富な実務経験を持つ方が対象となります。現場での実践経験を活かしながら社会福祉士資格の取得を目指せます。
既に福祉の専門職として活躍している方が、さらにキャリアアップを図るための選択肢として有効です。
一般大学卒業ルート(第3号)
一般大学(4年制)を卒業後、一般養成施設等(1年以上)を修了するルートです。福祉系以外の学部を卒業した方でも社会福祉士を目指せる道です。
大学での専門知識を活かしながら、養成施設で社会福祉の理論と実践を集中的に学ぶことができます。
他分野からのキャリアチェンジを考えている方や、大学卒業後に福祉分野への関心が高まった方に適しています。
一般短大卒業ルート(第6号・第10号)
一般短期大学を卒業後、相談援助実務を経験し、一般養成施設等(1年以上)を修了するルートです。3年制短大では卒業後1年、2年制短大では卒業後2年の実務経験が必要です。
短大卒業後に福祉分野で働きながら経験を積み、その後養成施設で体系的に学ぶことができます。実務経験を積んでから学習することで、現場の課題と理論を結びつけやすくなります。
働きながら資格取得を目指す方に適したルートです。
実務経験ルート(第11号)
4年間の相談援助実務を経験した後、一般養成施設等(1年以上)を修了するルートです。学歴に関わらず、相談援助の実務経験が4年以上あれば受験資格取得を目指せます。
長年現場で培った経験を基に、養成施設で理論的な裏付けを学ぶことができます。福祉の現場で働いている方が、実務経験を資格取得に活かせる重要なルートです。
3.働きながら社会福祉士の資格取得をする方法

社会人が資格取得を目指す際、仕事との両立が課題となります。
養成施設の種類や実習240時間の確保、実務経験による免除条件など、無理なく合格を目指すための重要なポイントを紹介します。
一般養成施設と短期養成施設の違い
社会福祉士養成施設の違いは修業年限と入学要件です。
一般養成施設
1年以上で、福祉系大学等を卒業していない方や指定科目未履修者が対象
短期養成施設
6ヶ月以上で、相談援助実務経験者や福祉系基礎科目を履修済みの方が対象
このように短期養成施設は、既に福祉の基礎知識や実務経験を持つ方向けに効率的に資格取得を目指せる課程です。
一方、一般養成施設は福祉を初めて学ぶ方でも体系的に学べる設計となっています。自身の学習歴や経験に応じて適切な施設を選択することで、社会福祉士としてのキャリア形成を効果的に進めることができます。
実習240時間と免除条件の活用
新カリキュラムでは、現場での相談援助(ソーシャルワーク)の実習が従来の180時間から240時間に増加しました。働きながら約30日間の実習時間を確保するには、職場との調整や有給休暇の活用が必要です。
ただし、相談援助業務の実務経験が1年以上ある場合実習が免除されます。また、介護福祉士や精神保健福祉士の資格所有者、または履修中の方は、60時間を上限に実習が免除されるという規定もあります。

現在、介護職として働いている場合、業務内容が身体介護のみであれば対象外ですが、相談員業務などを兼務している場合は対象となる可能性があります。
※対象となる施設や職種は多岐にわたるため、必ず公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの「実務経験の範囲」を確認してください。
参考:一般社団法人 日本ソーシャルワーク教育学校連盟|ソーシャルワーク実習指導・実習のための教育ガイドライン
4.社会福祉士取得のための給付金・支援制度

資格取得を経済的に支援する制度として、教育訓練給付金と修学資金貸付制度があります。専門実践教育訓練など、活用できる支援制度の詳細を解説します。
教育訓練給付金の内容と種類
教育訓練給付金とは?
働く人が自発的に職業能力開発に取り組むことを支援するため、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した際に、受講費用の一部を雇用保険から給付する制度
教育訓練給付金の種類と比較
受講費用の一部を雇用保険から給付する制度
専門実践教育訓練
- 受講中:50%(年間上限40万円)
- 資格取得+雇用:70%(年間上限56万円)
- 賃金5%以上上昇:80%(年間上限64万円)
特定一般教育訓練
- 訓練修了後:40%(上限20万円)
- 資格取得+雇用:50%(上限25万円)
一般教育訓練
- 訓練修了後に一律20%支給
- 様々なスキル習得を支援
専門実践教育訓練
中長期的なキャリア形成を目指す教育訓練で、下記のような上限金額の手厚い支援制度です。
- 受講中は経費の50%(年間上限40万円)が6か月ごとに支給
- 資格取得後に雇用された場合は70%、さらに賃金が5%以上上昇すれば80%(年間上限64万円)まで給付率が上がる
※2024年9月までに開講した講座は最大で受講費用の70%(年間上限56万円)の支給
特定一般教育訓練
速やかな再就職と早期のキャリア形成を支援する教育訓練で、再就職を目指す方に適した制度です。
- 訓練修了後に経費の40%(上限20万円)が支給
- 資格取得後に雇用された場合はさらに50%(上限25万円)まで給付率の引き上げ
※2024年9月までに開講した講座は受講費用の40%(年間上限20万円)の支給
一般教育訓練
雇用の安定と就職促進に役立つ幅広い教育訓練が対象です。比較的気軽に利用できる制度で、様々な職業スキルの習得を支援します。
- 訓練修了後に経費の20%(上限10万円)が支給
訓練修了後に経費の20%(上限10万円)が支給されます。比較的気軽に利用できる制度で、様々な職業スキルの習得を支援します。

受給資格の有無や申請手続きについては、管轄のハローワークで確認しておきましょう。
修学資金貸付制度
修学資金貸付制度とは?
資格取得を目指す学生に対して、修学資金や入学準備金、就職準備金などを貸し付け、卒業後に一定期間その地域で介護業務に従事すれば返済が免除される制度
社会福祉士修学資金貸付事業
社会福祉士養成施設で学ぶ学生を対象とした貸付制度です。
在学中は月額5万円以内が貸し付けられ、入学時には入学準備金20万円以内、卒業時には就職準備金20万円以内も利用できます。
養成施設に在学する期間中、継続して支援を受けられます。卒業後、社会福祉士として相談援助の業務に5年間従事すれば、貸付金の全額が免除されるため、実質的な給付型支援として活用できる制度です。
参考:厚生労働省|介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ(修学資金貸付制度のご案内)
5.社会福祉士を目指す際によくある質問

社会福祉士を目指す方から寄せられる主な疑問について回答します。
資格取得にかかる期間、試験の難易度、高卒からの取得方法、実習免除の条件など、多くの受験者が抱える悩みにお答えします。
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社会福祉士の資格を取るにはどのくらいの期間がかかりますか?
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ルートによって異なります。福祉系大学4年制コースなら卒業と同時に受験資格が得られます。
高卒で実務経験ルートを選ぶ場合は、4年間の実務経験後に短期養成施設(6ヶ月以上)か養成施設(1年以上)かかります。
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社会福祉士の試験は難しいですか?
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合格率は年度によって変動しますが、2025年度では56.3%です。
計画的な学習が必要ですが、しっかり準備すれば合格可能です。
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高卒ですが、大学に行かずに社会福祉士になれますか?
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はい、可能です。
下記のルートであれば、高卒の方でも、実務経験を積んで養成施設を修了することで社会福祉士を目指せます。第11号
4年間の相談援助実務を経験した後、一般養成施設等(1年以上)を修了するルート第12号
児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司、老人福祉指導主事のいずれかの職に4年間従事した後、短期養成施設等(6ヶ月以上)を修了するルート
-
現在介護職ですが、実習は免除になりますか?
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単に介護業務を行っているだけでは免除されません。
指定施設において、生活相談員や支援相談員などとして相談援助業務を1年以上行っている必要があります。
6.社会福祉士になるために、自分に合ったルートを選ぼう
社会福祉士になるには12の受験資格ルートがあり、学歴や職歴に応じて最適な道を選べます。
福祉系大学での学習、実務経験を活かしたルート、働きながらの資格取得など、ライフスタイルに合わせた選択が可能です。
教育訓練給付金や修学資金貸付制度などの支援も充実しており、経済的な負担を軽減できます。まずは自分の状況を確認し、計画的に資格取得を目指しましょう。






